「高専生」と聞くと、皆さんはどのような学生を思い浮かべますか。
ロボコンやデザコン、プログラミングコンテスト、専門分野の研究など、高専ならではの活動を思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん、それらは高専の大きな魅力であり、多くの学生が熱中している素晴らしい活動です。
一方で、「専門分野以外にも何か挑戦してみたい」「地域と関わる活動をしてみたい」と思ったことはありませんか。
私はこれまで高専の外に目を向け、さまざまな人たちと協働して地域や社会にある課題の解決に向けた取組を行う「地域探究プログラム」や、地域団体の活動に参加してきました。
地域課題について考えたり、イベントを企画したり、地域の方々と一緒に活動したりと、一見すると高専で学ぶ内容とは関係がないように思える経験もたくさんしてきました。
しかし、活動を続ける中で感じたのは、高専で学ぶ「課題を見つけ、考え、解決する力」は、地域探究でも大きな強みになるということです。
高専生活の魅力は、専門知識を学べることだけではありません。比較的自由に使える時間が多く、自分の興味や関心に合わせてさまざまなことへ挑戦できる環境があることも、大きな魅力の一つです。
この記事では、私自身の経験をもとに、高専生だからこそ挑戦しやすい地域探究の魅力や、最初の一歩を踏み出す方法について紹介します。
もし今、「何か新しいことに挑戦してみたい」と思っているなら、地域探究という選択肢もぜひ知ってもらえたら嬉しいです。
地域探究は、身近な「気になる」から始まる
「地域探究」と聞くと、地域課題を解決するために専門知識が必要だったり、特別な経験を持った人だけが参加できたりする活動だと思っている人もいるかもしれません。
しかし、私が実際に参加してきた地域探究プログラムでは、そのような場面はほとんどありませんでした。
高専で学ぶ専門知識が役立つこともありますが、それ以上に大切なのは、「地域をもっと知りたい」「何か新しいことに挑戦してみたい」という気持ちです。
そして、地域探究に参加する上で、高専生であることは意外な強みになることがあります。
多くのプログラムでは、高校生や大学生、社会人など、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者を募集していることが多くあります。そのため、主催者は「いろいろな視点を持った人」に参加してほしいと考えています。
高専生は全国的に見ても人数が少なく、専門分野を学びながら実験や課題解決に取り組んでいるという特徴があります。そのような背景から、高専生ならではの視点を期待されることも少なくありません。
実際に私も、面接や書類審査があるプログラムへ参加した際、
「どうして私を選んでくださったのですか」と質問したことがあります。

地域探究で得られたのは、知識よりも「人とのつながり」
地域探究に参加する前の私は、「何か成果を残さなければいけない」「地域課題を解決できなければ意味がない」と考えていました。
しかし、実際に活動を続ける中で、一番大きな財産になったのは知識や実績ではなく、「人とのつながり」でした。
地域探究では、高校生や大学生だけでなく、地域で活動されている方や企業の方、行政職員など、本当にさまざまな立場の人と出会います。
同じテーマについて話し合い、一緒に企画を考え、ときにはプレゼンテーションを行い、自分たちの活動を発信する。そのような経験は、高専生活だけではなかなか得ることのできない貴重な学びでした。
また、自分では当たり前だと思っていた高専での学びが、地域では新しい視点として評価されることもありました。一方で、地域の方々から教えていただくことも多く、お互いの得意分野を生かしながら活動できることに、地域探究ならではの面白さを感じました。
しかも、人との出会いは一度きりでは終わりません。
知り合った方から別の活動を紹介していただくなど、一つの出会いが次の挑戦へとつながることが何度もありました。
地域探究で得られる一番の価値は、「何を学んだか」だけではなく、「誰と出会えたか」なのかもしれません。
地域に一歩踏み出すことで生まれる出会いや経験は、きっとその先の高専生活や将来にもつながっていくはずです。
「何かしなきゃ」と思いすぎなくてもいい
ここまで地域探究について紹介してきましたが、だからといって「地域探究をしなければならない」というわけではありません。
高専生活には、本当にさまざまな過ごし方があります。
ロボコンやデザコンに打ち込む人もいれば、研究に夢中になる人もいます。部活動やアルバイトに力を入れる人、趣味をとことん楽しむ人もいます。
どれが正解で、どれが不正解ということはありません。
私は地域探究を通して多くの経験をしてきましたが、それは数ある選択肢の一つに過ぎません。
大切なのは、「自分が何に興味を持ち、何をやってみたいと思うか」です。
例えば、趣味に全力で取り組んでいると、その趣味を通じて新しい仲間と出会うことがあります。アルバイト先での経験が将来の進路につながることもありますし、部活動で培った経験が思いがけない場面で役立つこともあります。
私自身も、これまでの活動を振り返ると、「この経験がこんなところでつながるんだ」と驚くことが何度もありました。
そのときには意味が分からなかった経験でも、人との出会いや挑戦が積み重なることで、少しずつ自分だけの強みになっていくのだと思います。
高専は、自由度が高い学校です。
専門分野を学びながら、自分で時間の使い方を決めることができ、興味を持ったことに挑戦しやすい環境があります。
だからこそ、「何か実績を作らなければ」「何か特別なことをしなければ」と焦る必要はありません。
地域探究でも、研究でも、趣味でも、アルバイトでも構いません。
自分が「やってみたい」と思えることに夢中になること。その経験が、きっと高専生活をより充実したものにしてくれます。
高専生活は一度きりです。
ぜひ、自分だけの「好き」を見つけ、その自由な環境を最大限に生かして、高専生活を思い切り楽しんでください。

