高専生のための生物化学系レポートAI活用術

今回は、私が実際に行っている化学・生物系レポートのAI活用術について紹介します。レポート作成に追われている人や、少しでも効率よく課題に取り組みたいと考えている人の参考になれば幸いです。

【レポートは実験前から始まっている】

化学・生物系の実験レポートというと、多くの人は「実験が終わってから書き始めるもの」というイメージを持っているかもしれません。

しかし、私は「レポートは実験前から始まっている」と考えています。

実験レポートで時間がかかる理由は、文章を書く作業そのものだけではありません。何から始めればよいか考えたり、実習書を読み返したり、実験原理を調べたりといった準備作業にも多くの時間を使っています。

実は行動科学の分野では、行動を始めるまでのハードルを下げることが継続や実行につながると考えられています。例えば、勉強しようと思ったときに参考書を机の上に出しておくだけでも取り掛かりやすくなるように、人は最初の一歩が小さいほど行動しやすくなります。

レポート作成も同じです。実験後にゼロから始めるのではなく、実習書を事前に整理したり、必要な資料をまとめたりしておくだけで、「レポートを書かなければならない」という心理的な負担は大きく減ります。

私の場合は、実習書が配布された段階でデータ化し、AIに読み込ませる準備を進めています。そうすることで実験後は「何から始めよう」と悩むのではなく、「続きから進めよう」という状態で作業を始めることができます。

実験前に少しだけ準備をしておくこと。それだけでも、レポートに取り掛かるハードルは大きく下がります。

【AIは万能ではない。でも使わないのはもったいない】

最初に伝えておきたいのは、「AIはあくまでも補助的なツールである」ということです。

AIは決して万能ではありません。実験内容を勘違いしたり、存在しない情報を作り出したり、もっともらしい間違いを書いたりすることもあります。そのため、特にレポートで高評価を狙いたい人や、内容を深く理解したい人——つまり、ちゃんとした「考察」をしたい人にとっては、AIへの依存が逆効果になる場合もあります。

しかし、レポート作成において時間がかかる部分の多くは、実は「考察」ではありません。実習書を読み直すことや、実験方法を整理すること、目的や原理を文章としてまとめることなど、比較的定型的な作業に多くの時間を使っています。

AIが得意なのはまさにこの部分です。

私自身、AIを活用するようになってからレポート作成にかかる時間は大きく減り、本来時間をかけるべき実験結果の分析や考察に集中できるようになりました。AIをうまく活用しながら内容を自分で確認していけば、レポートで大きなミスをしたり、提出物として成立しないレベルのものになったりすることはかなり減らせると感じています。

では実際に、どのような準備を行えばAIをレポート作成の補助として活用できるのでしょうか。次のセクションでは、私が最初に行っている「実習書のデータ化」について紹介します。

【まずは実習書をAIが読める状態にする】

AIをレポート作成に活用する上で、最も重要なのが資料の準備です。

「AIに与える情報」の違いで、AIによる出力の質が大きく左右されます。

そこで私が最初に行うのが、実習書のデータ化です。

実習書が紙で配布される場合は、まずスキャンアプリなどを利用してPDF化します。このとき、単純に画像として保存するだけではなく、文字を認識できる状態にしておくことをおすすめします。単純な画像のママだと、AIが誤って内容を読み取ってしまう可能性が高くなるからです。

例えば、

  • 「0.1 mol/L」が「0.7 mol/L」と認識される

  • CH₃OH」が別の化学式として認識される

といったことは十分起こり得ます。

そのため私は、PDFをOCR機能でテキスト化したり、AIに内容を要約させながら誤字がないか確認したりして、できるだけ正確な状態に整えています。

少し面倒に感じるかもしれませんが、この作業は一度行えば終わりですし、その後のレポート作成時間を大幅に短縮してくれます。

また、この段階で実習書をざっと読み返しておくことも重要です。

  • 実験の目的は何か。

  • どのような原理を扱うのか。

  • どのような測定や分析を行うのか。

こうした内容を事前に把握しておくだけでも、実験中に何を見ればよいのかが分かりやすくなります。

私はここで作成したデータを、AIが要約や分析を行うツール「NotebookLM」に保存しています。「AIが正しく学習できる環境を整えること」が重要なのです。

また、実習書だけでなく、授業資料や教科書の該当ページ、参考資料などもNotebookLMに一緒に入れておくことで、実験ごとに専用の知識データベースを作ることができます。次のセクションで、その方法を紹介します。

【NotebookLMに資料を集約する】

実習書のデータ化が終わったら、次は資料をNotebookLMに集約します。

実験に関する資料を一か所にまとめ、「レポート専用データベース」として活用することが目的です。これによって、資料を探し直し、必要な情報を見つけていく作業の時間を減らすことができます。

実習書以外でレポート作成に必要になりそうな資料の具体例は、

  • 授業資料

  • 教科書の該当部分

  • 実験に関連する参考資料

  • 自分で作成したメモ

などです。

さらに、過去に同じ実験を行った先輩のレポートを持っている場合は、それも参考資料として追加します。

  • どのような構成で書いているのか

  • どの程度の分量で考察を書いているのか

  • どんな観点で結果を分析しているのか

といった部分は非常に参考になります。

実際、初めて取り組む実験では、どの程度のレベルで書けばよいのか分からないことも多くあります。そのため、良いレポートの例を参考資料として持っておくことは大きな助けになります。

ここで重要なのは、資料を多く集めることではなく、信頼できる資料を集めることです。

AIは与えられた情報をもとに回答を作ります。そのため、誤った資料や不正確な情報を入れてしまうと、そのまま誤った内容が出力される可能性があります。逆に、実習書や授業資料などの信頼性が高い情報を中心に整理しておけば、AIの回答精度も向上します。

私の場合、この段階でまだレポートを書き始めることはありません。

まずは資料を整理し、

「この実験についてAIが説明できる状態」

を作ることを目標にしています。

ここまで準備ができれば、実験後に一から内容を整理する必要はありません。

実習書を読める状態にし、必要な資料を集める。この準備だけで、後の作業効率は大きく変わります。

【実験中に記録するのは「実習書と違う部分」】

ここまでの準備ができていると、実験当日にやるべきことは意外と多くありません。

私が意識しているのは、実験中にすべてを記録しようとしないことです。すでにNotebookLMには実習書や関連資料が入っています。そのため、AIは実験の基本的な流れや標準的な操作手順を理解している状態です。

そこで私が記録するのは、

「実習書と異なる部分」

を中心にしています。

例えば、

  • 加熱時間が変更になった

  • 使用した試薬が変更になった

  • 予定していた温度で反応できなかった

  • 操作手順が一部省略された

  • 反応液の色が予想と異なった

  •   測定値が大きくずれた

といった内容です。

また、考察を書く際には「実験中に失敗した情報」が重要になることも少なくありません。

例えば収率が低かった場合でも、

  • 実験中に温度管理がうまくできなかった

  • 抽出操作で一部の試料を失った

  • ろ過に時間がかかった

といった記録が残っていれば、考察の材料として活用できます。

逆に記録が残っていないと、

「なぜこの結果になったのか」

を説明することが難しくなります。

実験中は実験そのものに集中し、変化点や気づきを記録する。そして実験が終わったら、その情報をAIへ追加していく。そうすると、実習書の内容に実際の実験結果や変更点が加わり、その日の実験内容をより正確に再現できる状態になります。

【AIにレポートの骨組みを作ってもらう】

実験が終わったら、いよいよAIを活用してレポートの作成を始めます。

ここで大切なのは、最初から完成版のレポートを作ろうとしないことです。

AIに「レポートを書いて」と指示すると、それらしい文章は出力してくれます。しかし、その内容が必ずしも正しいとは限りません。場合によっては実験で行っていない操作を追加したり、実験結果が出ていない段階で勝手に考察を書いたりすることもあります。

そこで私は、まずAIにレポートの「骨組み」を作ってもらいます。

具体的には、

  •   実験目的

  • 実験原理

  • 実験方法

  • 結果の整理

などの部分を作成してもらいます。

これらは実習書や授業資料の情報が中心となるため、AIが比較的得意とする部分です。

NotebookLMには実習書や参考資料が入っているため、

  • この実習書を参考に目的を書いてください

  • 実験原理をレポート形式でまとめてください

といった指示を出すだけでも、かなり完成度の高い下書きが作成されます。

さらに、過去のレポートや自分が高評価を受けたレポートがある場合は、それも参考資料として活用できます。

例えば、

このレポートと同じような文体でまとめてください

この構成を参考にしてください

といった形で指示を出すことで、自分が書きやすい形に近づけることもできます。

ただし、ここで作った文章はあくまでも実験目的や原理、方法、結果の下書きであり、本当に評価されるのは「考察」です。

実験目的や方法などは、多くの学生が似たような内容になります。しかし考察は、自分がどのように結果を解釈したのかが反映される部分です。

  • 収率が低かった理由は何か。

  • 予想した結果と違った原因は何か。

  • 測定値に誤差が生じた理由は何か。

こうした部分は、実験に参加した本人しか十分に説明できません。

だからこそ私は、AIによって目的や方法の作成時間を短縮し、その分の時間を結果の分析や考察に使うようにしています。

レポート作成で最も価値があるのは、「文章を打つ作業」ではなく「考える作業」です。

AIは考えるための時間を生み出してくれる便利なツールですが、最終的にレポートを完成させるのは自分自身です。そのことを忘れずに活用することで、AIはレポート作成の強力な味方になってくれると思います。

【まとめ】

ここまで、私が実際に行っているAIを活用したレポート作成の方法を紹介してきました。

私が目指したのは、AIを活用してレポート作成を効率化し、自分が本当に考えるべき部分(考察)に時間を使うことです。

私自身、高専生活の中で授業や実験、研究活動、課外活動など様々なことに取り組んでいます。その中で限られた時間を有効に使うためには、「頑張ること」だけでなく「効率化すること」も大切です。

レポート作成に何時間も費やしていた時間を短縮できれば、その分を実験内容の理解や研究活動、あるいは自分が本当にやりたいことに使うことができます。

これから先、AIはさらに身近な存在になっていくと思います。だからこそ重要なのは、AIに任せることではなく、AIを使いこなすことです。

今回紹介した方法が、レポート作成に悩む高専生の負担を少しでも軽くし、その時間を新しい挑戦や学びに使うきっかけになれば嬉しく思います。

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さら熊本高等専門学校 八代キャンパス / 化学・物質系 / 本科5年生

高専プラス学生サポーター/熊本高専所属/大学編入志望/発酵を科学するコンテスト挑戦中/アニメ